(関西食百景)ここだけの話―5月9日配信

コイ料理、確かに美味しいです。しかし今の日本に残っているコイの大部分は外来のヤマトゴイなんですよね。

以下引用。
http://digital.asahi.com/articles/ASH4J54VNH4JPTFC012.html?_requesturl=articles%2FASH4J54VNH4JPTFC012.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH4J54VNH4JPTFC012
(関西食百景)ここだけの話―5月9日配信
渡義人 戸村登
2015年5月9日16時00分

■(取材余話)コイの評価一変
島根県出身の私にとって、コイと言われて真っ先に思い浮かぶのは、子どもの頃から大ファンの広島カープ。コイは応援するものであって、食べるという発想は全くなかった。

悲しい思い出もある。2004年のちょうどこの時期、滋賀県の大津総局にいた私は、琵琶湖でコイヘルペスが猛威をふるうのを目の当たりにした。約10万匹のコイが死に、湖岸には多くの死骸が打ち寄せられた。コイヘルペスは人に感染しないし、感染した魚を食べても人に影響はない。しかし、養殖業者はイメージの悪化もあって、大きな被害を受けていた。

あれから10年余り。永田平兵衛商店(滋賀県高島市)の山本正一専務(60)によると、当時年間100トンあったコイの出荷量は、10分の1に減ったという。「当時、まだコイ料理を出す旅館や料亭が残っていたが、あの騒動で一気に離れた」と悔しそうに話してくれた。一度メニューから外れると、なかなか元には戻らないとのことだった。

いま、コイを食べる文化は長野県や山形県の山間部などが中心で、非常に限定的になっているという。小規模な養殖業者が多いコイは、市場を通さずに昔からの付き合いで販売されることが多いため、買える場所が限られるという面もある。ただ、食べられなくなったのは、やはり海の魚のほうがおいしいからではないか。そんな思いもあった。

ところが、取材でお邪魔した「草喰(そうじき)なかひがし」(京都市左京区)で刺し身や焼き身を食べさせてもらい、評価は一変した。ピンク色に輝く身は臭みが全くないばかりか、歯ごたえといい、味といい、まさに驚きだった。小骨が多いため、骨切りなどの調理技術が求められるが、店主の中東久雄さん(62)が「私はコイの復権を狙っている」と何度も話すのがうなずけた。

錦市場(同市中京区)に店を構える「のとよ」は2店舗あり、西店の2階で食事が出来る。1階で売っていた「子持ちコイのうま煮」を購入し、食べさせてもらった。骨から身がぽろっと取れるのは、生きたコイを調理した証拠という。ご飯と一緒に食べていると、だんだん体が熱くなってきた。産後の妊婦の体力回復など、滋養に効果があると言われるだけはある。「コイは泥臭いと思っている人が多いが、それは天然物が多かった昔の話。一度、食べてみて欲しい」と社長の三田冨佐雄さん(74)は話す。

日本では生産量が減りつつあるが、実は世界的に見れば、ここ数十年で急増している。国連食糧農業機関の調査によると、1982年に約45万トンだったのが、2012年には約380万トンになっている。

その生命力の強さなどから、世界で評価が高まっているコイ。取材を通じて、すっかりファンになってしまった。もっと魅力を知ってもらえるよう、こちらのコイも応援していきたい。(渡義人)

■(撮影余話)俎板の鯉、初めて撮った
「俎板(まないた)の鯉(こい)」。この光景が目の前に現れた。黄金色のうろこを持つコイ3匹がおとなしくまな板の上に並んでいた。俺、撮っちゃったよ、まな板のコイ。誰かに自慢したい気分になった。

「まな板の上の鯉が料理されるのをただ待つしかないように、相手のなすがままで逃げ場のない境遇をいう」(岩波書店「広辞苑」)のだそうである。

ただ、先ほどまでいけすで元気よく泳いでいたわけだから、網ですくってたらいに入れると、暴れる、暴れる。たらいの水がはね、カメラやレンズが水滴まみれになり、レンズのフィルターをハンカチで何度も拭った。撮影がなければ、おそらくあっという間に調理されてしまったのだろうが、撮影しやすいよう、ゆっくり作業していただいたので、コイもいつもより大暴れしたのだと思う。

おとなしくさせるにはこつがあるらしい。店主の中東久雄さんがコイの背中を押さえたり、さすったりすると、途端に静かになる。カメラの前で「俎板の鯉」を披露してくれたのだ。

コイを刺し身にする様子を撮影したことはあるが、調理の様子を撮るのは初めてだった。骨切りした身を素揚げしたり、炭火で焼いたりする様子も撮影させてもらった。薄く切られた身が熱によって、花びらのようにくるんと広がっていく。

野草を添えて皿に並べると、とてもコイの料理とは思えなかった。きれいだなあと思いながら、よりおいしそうに見えるように写真を撮りたい。そう願った。

あの「俎板の鯉」は、私の取材に対するつかみだったのだろう。中東さんはおそらく知っているのだ。ありそうでなさそうな光景を見せられると、カメラマンの「撮影欲」が湧くことを。おそらくこれまでもそうやって、撮影クルーの心をつかんできたのだろう。

自分は「俎板の鯉」を撮った、初めての朝日新聞カメラマンだと思う。念のため、朝日新聞のデータベースを検索してみた。自らの公認問題について「執行部が決めること。まな板のコイ」と語る政治家の写真しか見つからなかった。そう、私は、朝日新聞史上、「俎板の鯉」の写真を初めて記録し、紙面に載せたカメラマンだ。そのことにはおそらく何の意味もなく、これっぽっちの自慢にもならないが……。(戸村登)

■挑戦してみては?
(草喰なかひがしの店主、中東久雄さんのおすすめ)
【コイの揚げ出し】
■材料(分量はいずれもお好みで)
・コイ(1切れ40~50グラム)
・米粉
・コイの骨と昆布で取った出汁(だし)
・うすくちしょうゆ
・みりん
・日本酒
■作り方
①コイを三枚におろし、身を1ミリ幅で骨切りする
②身に米粉(もしくは小麦粉)をつける
③身を丁寧にはたいて余分な粉を落とした後、170~180度の油で黄金色になるまで揚げる
⑤出汁5、しょうゆ1、みりん1、日本酒少々の割合で混ぜ合わせ、コイの上からかける
⑤セリやネギなどの野菜を添えて完成

引用ここまで。

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